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昭和27年日本学術会議における茅・伏見提案に対する三村剛昂の意見について

 表題の件について、福島の原発問題の余波もあってか、反原発運動の方が引用しておいでのことが多い。

 当時は東西冷戦の緊迫感の下にあった。
 原爆の惨禍を目の当たりにし、原子力が非平和利用されたときの危険を考え、反対したのは当然のことで、理解できる。

 そちらがネットではよく引用されているが、晩年(1964年なので、まさに最晩年)の以下の文章は、見られない。

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「現在の文明を維持発展させるためには、核エネルギを開発しなければならぬことを強調し、わが国でも核分裂による原子力発電を進める必要がある」
「(上述の会議の話にふれて、)昭和27年と今日では様子がすっかり違う。今の原子力の平和利用は「民主、自主、公開」の三原則の下に行われるべきことが、法律で定められている。しかしこの法律があるからといって、手放しでいるわけにはいかない。うっかりしていると日本でも原爆ができているということになりかねない……。」
(『原子力発電の今後の動向』火力発電 Vol.15 No.12 Dec.1964 )
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 三村剛昂は平和運動家ではなく科学者である。常に科学の社会への寄与を課せられていた。
 「冷戦下で原子力を開発することの、社会におけるリスク」
 「電力による文明の維持の研究努力を、放棄することができないこと」
 いずれもその立場に基づく発言だったろう。

 変節と指さされることをも、ひとまずは置かざるをえなかったと思われる。

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